芸術は人の心を開放し、高次な世界へと導入させる人間精神の働きです。社会生活や職業意識だけに関心が向けられると人格は機械化、物質化し、自然性が失はれ生命の活力を失っていきます。人は何の為に生きるのか、意識を転換して本来の目的を取り戻さなければなりません。その為には狭義の自己認識から離れて、宇宙的普遍性を獲得しなければなりません。芸術による自己解放と高次の世界認識のために私は禅瞑想によって無心に到る方法を学びました。コンテンプラチォン（観想）でもよいのですが、己の表現意図や、知識を一度解体し根源のゼロに戻した時、そこで表現者は無限に湧出してくる創造の泉に出会うのです。それはエクスタティクな体験です。
芸術は日常性を超えて個の自由と覚醒に導く技術です。現代生活では人の心身は豊富な物質や、情報に囲まれ、個人は主体性を失っています。自己を取り巻く日常の用の世界から我々は度々脱却して本質的自然に帰ることが必要です。アウトドアーや遊びの世界に我を忘れる事によって、心も身体もリフレシュするのも一つの方法です。然し芸術は外に行かなくとも自己集中の方法によって瞬時に自己の内部の美的本質に出会うのです。
何処で自分自身に出会えるのか？この美しい宇宙と一体化するためにはどうすればよいのか、作者が長い間の模索と、制作の中から得てきた体験に基いて、出来るだけ分かりやすくお話を進めていきます。芸術が専門家の物だけでなく、実は私たちの品性を高め、人生を豊かにして行く物である事を伝えます。
以上のような趣旨によって講座を展開していきます。